小学校三年生の時、クラスの親しい友達数人の親子で海辺の別荘に泊まりに行った。その時の写真が手元にあり、かずちゃんも写っている。
詳しい経緯はわからないが、母親同士6人の仲良しサークルで、夏休みに一緒に海へ行きましょうということになり、私の父が勤めていた会社の別荘が自由に使えたので、母子で行くことになった。(私達は「別荘」と呼んでいたが、要するに「会社所有の福利厚生施設」である。)クラスの友達で、私を含む女の子四人と、かずちゃんを含む男の子二人、そしてそれぞれのお母さんと兄弟達も一緒の、にぎやかな楽しい旅行だった。
写真に写っているのは、海で浮き輪をつけて泳いでいる女の子達や、ゴムボートに乗っている男の子達。砂にまみれた子供達。別荘のテラスで西瓜を切っているかずちゃんのお母さん。ニッコニコ顔で砂浜を歩いているやせっぽちのかずちゃん。みんなで写っている写真もある。
私の母を含め、この写真の中の数名が既に他界しているんだなあ。とにかく楽しかったなあと、ただただ感傷にひたる。この時の一番の思い出は、女の子達とうっそうとした茂みの中を探検に行ったこと。
その時男の子達が何をしていたのかはわからないし、この小旅行でかずちゃんとどんな言葉を交わしたかも覚えていない。
セピア色の幼い頃の思い出である。