一秀くんの同級生のブログ

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4冊分の内容

植草一秀著『知られざる真実−勾留地にて−』イプシロン出版企画

 この本は、著者が長期勾留されていた東京拘置所内で書かれたものであるが、保釈されてから半年を経てようやく出版された。
 著者の植草氏は、保釈直後に弁護団を総入れ替えし(これだけでも大変なエネルギーと時間を費やしたことと思うが)、旧弁護団が組んだ過密な公判日程を消化し、新弁護団と共に再現DVDを作成したり、証拠採用されなかったので日の目を見なかったものを含む、様々な資料を作成し、無実の立証に尽くしてきた。そのために、本書が出版されるまでに時間がかかったものと思われる。
 出版が伸びたのは、手抜きをしなかったためだと合点がいった。お読みいただければわかるとおり、資料のない拘置所で書かれたという雑な感じは一切しない。むしろ膨大な内容を圧縮して削ぎ落とし、エッセンスを抽出したうえに、入りきらないので文字を小さくしてなんとか1冊にまとめたような感じさえする。
 というのも、事件前にいくつかの出版予定があったことが本書の中で述べられている。本書には、その数冊分を1冊に凝縮したかのように、異なったジャンルの内容が混在するのである。
 第1章、第2章、第3章、巻末資料は、それぞれが1冊の本になってもよかった。この本1冊に4冊分の本が詰まっている。簡潔な文体は美しく、完成度が高い。

 第2章の半生記は、事件前の出版予定にもなかったものである。事件に巻き込まれて絶望し、死を決意した人が半生記を書いたということを重く受け止めたい。
「発言を続けることは危険を伴う。・・・いかなる妨害があろうとも屈服せず、勇気をもって今後も発言を続ける覚悟だ」
 この言葉に植草氏の並々ならぬ決意が感じられる。

※以下は、当ブログ管理人がアマゾンに投稿したレビューであるが、10日経っても掲載されないので(涙)、こちらに載せることにする。
 
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ここ数年、ニュースを見ていて腑に落ちないことが多かったが、この本を読んで政治の裏側の事情を知り大いに納得した。表現も平易で読みやすかった。

第一章には、小泉前首相の「売国政策」が、詳しく書かれている。
いわゆる「りそな疑惑」について詳述されており、難しい用語なども一般読者向けに解説が施されていて親切。
政財界に太いパイプを持ち、実際に小泉前首相、竹中元大臣と接した著者が、実体験を通してこの政治家達の国民に対する背任行為を証言する。
政治家や官僚が、国民の為に働いてくれているという幻想が、著者の証言によってうち砕かれると共に、権力者にだまされてきた国民の一人として、静かでしっかりとした怒りが込み上げてくるのを感じた。

第二章には、生い立ちなどが書かれていて、この著者の本にしては異色。幼時から小・中・高・大学時代のエピソードは青春映画のように清々しい。
大蔵官僚時代のエピソードを元にすればドラマが作れそうだ。この国の官僚政治の実態が浮き彫りにされる。
また、テレビ出演の経験を通し、マスメディアが政府に利用されていることを、楽屋裏からすっぱ抜く。

第三章では、政治や社会に対する著者の理想が述べられると同時に、この本が「勾留地」=東京拘置所の中で書かれたことに改めて気付かされる。
著者は拘置所の中に在ってなお、花を愛で、窓から見える青空に心を映す。
「政治は弱き者のためにある」という著者の温かいまなざしが本物であると、著者を取り巻く人々との交流によって伝わってくる。
一党独裁政治の腐敗を極めた時代にあって、このような理想を掲げる人がいることに胸が熱くなる。

プロローグとエピローグでは、事件に巻き込まれ、冤罪を訴える著者の心情が語られている。
「巻末資料」は「興味のある人だけ読んでください」といった体裁で、今まで著者が巻き込まれた事件について書かれている。
有罪が確定した「2004年事件」の裁判がいかにずさんな審議だったかがわかり、著者が「控訴拒絶」に至った理由が理解できる。

権力とマスコミが癒着し、公然と個人攻撃を加える時代にあって、為政者を批判することは危険が伴う。著者の不撓不屈の精神にエールを送りたい。
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以上
by hirarin-601 | 2007-08-14 11:47 | 知られざる真実 著書